歯ブラシとフロス、どちらを先に使ったほうがよい?
こんにちは。
歯科衛生士の前池 綾乃です。
歯の清掃を行う場合、
歯ブラシを先に使うべきか?
それともフロスから使うべきか?
使用順により、
歯間部のプラーク除去とフッ化物の定着に違いがあるか?
について、イランのMashhad大学のMazhariらが
2018年に論文を発表しました。
1.フロスを先に使うと効果が高い
フロスを先に使用した方が、
・歯間部と全顎のプラークスコアが減少
・辺縁歯肉部では差異なし
・フッ化物濃度が増加
歯ブラシを先に使用した時より、
プラーク除去も、フッ化物濃度も効果が高い結果でした。
「スウェーデン式ブラッシング」では、
ワンタフトブラシを先に使って、リスク部位を丁寧にみがき、
あとに歯ブラシを使うほうがプラーク除去に効果的だと言われています。
その観点から、補助的清掃用具を先に使用するほうが、
プラーク除去効果が高いと考えられています。
2.様々な観点から考える
論文結果では、「フロスが先」となりましたが、
歯ブラシを先に使う観点も考えてみましょう。
・歯ブラシを最初に使い、大部分の汚れを除去してから、
歯間ブラシを使うほうが効果が高い気がする
・歯磨剤を先に歯ブラシで使うので、すっきりして気持ちが良い
・長年の習慣を変えづらい
こちらは論文にはありませんが、
患者があまりフロスを使用したことがない方、
先にフロスを使うことが定着しない方は、
このように考えているかもしれません。
3.論文結果は指標だが、絶対ではない
論文結果に出ているからといって、
全ての人に当てはまるとは断言できません。
その方に合わせて対応することが、
患者にとって喜ばれる歯科衛生士になります。
プラークが除去できていれば、
どちらを先に使ってもよいのです。
論文は参考にしながら、
かつ一人一人違うので、
個々に合ったTBIができればよいですね。
<参考文献>
DH style 2019年1月号