お母さんを責めないで・・・
こんにちは。
AYANOです。
お子さんのTBIで、何度指導しても、改善されない。
きれいに歯をみがいてくれない。
いったいこの子のお母さんは、ちゃんと仕上げみがきをしているのか!?
と少し憤りを感じたり…
そんな経験ありませんか?
私も、よく小児のメインテナンスなどで、
プラークがべっとり多い子をみると、
歯医者に来る前にちゃんとみがいてよ…と思ったものです。
(今でも思うときはありますが…)
どうして歯をみがかないのだろう?
そのことばかりに着目して、あまり環境にまで、
気を配れていませんでした。
当時8歳の男の子。
もう仕上げみがきは卒業して、
自分でちゃんとブラッシングしていける年齢なのに、
いつも口腔内はプラークがべっとり。
家で全く歯をみがいてないのでは…と思うくらい汚れていました。
本人にTBIしても、
まず、会話をしない。こちらの話を聞いているのか、聞いていないのか、
一言も話さない。
そんな男の子でした。
私は何とか清掃状態をよくしたい一心で、
「お母さんから本人にみがくよう言ってください。」
「仕上げみがきをときどきでいいので、お母さんがしてください。」
とお願いするしかありませんでした。
「家でも言っているのですが…。」
「はい。わかりました。」
お母さんも半ば疲れた表情。
そのときの私には、
子育ての経験がなかったので、その親子の生活状況を、
察してあげることができませんでした。
その8歳の男の子には、
生後3~4か月くらいの、小さな弟がいました。
お母さんはその赤ちゃんのお世話で忙しく、疲れているようでした。
お母さんは、小さい赤ちゃんに手がかかり、
上の子の仕上げみがきどころではなかったのかもしれません。
ご飯も以前のように、ちゃんと作れなくなったのかもしれません。
赤ちゃんの夜泣き、授乳で、睡眠不足だったかもしれません。
また、その8歳の男の子は、
赤ちゃんが生まれるまでは、お母さんの愛情を一人占めできたし、
お願いすれば手伝ってもらえたし、
たくさんかまってもらえたかもしれません。
そして、自分が小学生で、お母さんに甘えたくても、甘えられず、
いろんなことを我慢していたのかもしれません。
歯をみがかないといけない…と何となくわかっているけど、
一時的に無気力の状態だったかもしれません。
自分が子どもを生み、
育てるようになってから、
あの時の親子のことを思い出しては、
家庭環境や状況を考えてなかったことを、後悔しました。
「お母さん」という立場の人は、
責められてばかりです。
子どもが泣けば、周りに気をつかい。
子どもがケガや病気になれば、家族から責められ、
ほとんどの家事や子育ては、一人で頑張っている。
それなのに、
むし歯になれば、歯医者から責められ、
歯みがきができていなければ、歯科衛生士から責められる。
もう疲れきってしまいますよね。
「お母さん。今の大変な時期を、とても頑張られていますね。
上の子が歯をみがかなくなったことは、一時てきなものかもしれません。
歯医者さんでは、お子さん本人が自立できるサポートをしますね。
それまでは、お母さんは今は大変でしょうから、
できるときだけ仕上げみがきをしてくださいね。
むし歯にならないように、だらだら食べるのはやめましょうね。
だらだら食べをやめれば、歯も歯垢がつきにくくなりますよ。」
「お母さん、あなたは本当によく頑張っていますよ。
だから自分を責めないで。」
今ならこんな声かけができたと思います。