TCH上級編(ナイトガードについて)
TCHを記事に取り上げたところ、
たくさんの歯科衛生士さんと意見交換ができました。
ナイトガードに関して、もう少し詳しく解説します。
前回の記事でお話ししたように、
TCHの改善法は、まずご自身で自覚していただき、
上下の歯が無意識に接触していれば、歯を離す
ことが大切です。
ナイトガードはあくまで対処療法。
根本的にTCHが起こる原因追究や、
かみ合わせの問題、
日常の生活行動に問題がある場合は、その原因除去を行う必要があります。
1.ナイトガードの種類について
厚みや素材は何種類もあります。
一般的に院内技工で作成するタイプは、
①ソフトタイプ
②ハードタイプ
技工所で作成してもらうタイプは、
③超ハードタイプ
と考えていただけるとよいです。
それぞれ使用してみて、
私の個人的な使用感と、患者さんの反応になりますが、
②の院内技工のハードタイプ1mm~2mm程度のものが
違和感が少なくて、継続して使用しやすいです。
2.ナイトガードの危険性
・ナイトガードを装着していてバイトがずれる。
・オープンバイト(開口)になる。
歯の接触を緩和させるためにつくったものが、
逆に、咬合状態を悪化させてしまう場合があります。
ナイトガードを作るときには、
①舌位や咬合に問題はないか?
②就寝時の姿勢に問題はないか?
③マウスピースの形状や、厚みが適切か?
をよくみて、考えて作る必要があります。
マウスピースの厚みが厚すぎると、
オープンバイトや、咬合を変えてしまうことがあります。
またソフトタイプを装着して、噛みしめがひどくなり、
咬筋をより一層筋トレさせてしまう状態の方もいます。
嘔吐反射がある方(舌位が正しくない場合が多い)や、
違和感があってナイトガードを続けられない方もいるので、
やみくもに「誰でもすすめればよい」というものではありません。
3.作る前に舌位、体癖チェックポイント
ナイトガードの前に、
舌位の改善や口腔内の空間確保ができているか?
口腔機能の最優先機能は、呼吸の確保
寝るときの枕の高さ、横向き寝、体壁などの指導も行いましょう。
被盖関係が浅い場合や、就寝時の姿勢が同じ側の横向き寝の方に、
ナイトガードをすすめる場合は、定期的にチェックを行います。
舌が、だんご舌の方にナイトガードを使用すると、開口になったり、
また、反対咬合の方は下顎前突をひどくさせてしまうおそれがある方には、
すすめていません。
ナイトガードは正常咬合で、とくに舌癖に問題のない方にすすめることがベストです。
ただ、使用すると歯の動揺がなくなる方、しみるのがなくなる方、
マウスピースの臼歯部に穴を開けてくる方、補綴がバイトではずれやすい方など、
よい結果が出ているのを感じています。
4.ナイトガード不適切の方
ナイトガードが適用しない方、悪化させてしまうケースについて
①ナイトガードが適用しない方
・デンチャーを入れている方
(小さなパーシャルデンチャーだと、ナイトガード作成する場合もあります。)
・歯周病がひどく、ナイトガードのとりはずしに不安のある方
(ナイトガードを装着したくない歯が臼歯であれば、大臼歯部をマウスピースからカットしたり、
前歯の叢生部もカットして作ります。 マウスピースはアンダーで作製します。
時には下顎に装着するタイプを作ります。)
・自覚症状がない方
ナイトガードの必要性を理解できていない方には、無理にすすめません。
②ナイトガードを入れて悪化させてしまうおそれのある方について
基本的に、装着して悪化する方にはおすすめしません。
入れてよくなるか、あまり変わらないか…という考えです。
もしナイトガードを入れて、悪化させてしまったら、次の点をチェックしてみましょう。
・マウスピースの厚みが適正でない。(厚みが分厚すぎる)
・C治療、P治療、補綴治療が、終わっていない。
・咬合が安定していない。
・舌位が悪い
ナイトガードは、治療完了後のメインテナンスに以降してからが望ましいと思います。
もちろん、すぐに作製した方がよい場合もあります。
歯の本数にもよりますが、残存歯が少ない方には、あまり効果が期待できないこと、
製作が難しいとも思います。
作りっぱなしにせず、必ず定期的にチェックしましょう。