リステリン®の効果と特徴
2019年6月18日
こんにちは。
歯科衛生士の前池 綾乃です。
2018年春の日本歯周病学会で学んだ情報です。
今回はリステリン®
ブラッシングだけでは、75%も
お口の中にバイオフィルムが残る!
リステリン®を使うことで、
プラーク除去効果が5倍
健康な歯肉は2倍になるそうです
実は、私自身、洗口液は使用していないので、
患者さんにすすめるとしても、
フッ素洗口剤をすすめることが多いです。
そして、何より、
リステリン®の味がきつくて、苦手…。
ですが、お話しを聞くと使ってみたくなりました。
目次
1.リステリンの効果や特徴
<特徴>
・リステリンは洗口剤で一番エビデンスがある
・エッセンシャルオイル(分子量が小さい)
が配合されていることにより、バイオフィルムへ浸透しやすい
・主成分がチモール(IPMPの異性体)で、
非イオン性化合物
・バイオフィルム浸透殺菌力時間が
なんと30~60秒❗
0.12%CHX(グルコン酸クロルヘキシジン)
で、バイオフィルム浸透殺菌力時間は6分。
しかも、ほとんど浸透せず、菌が減っていないとのこと。
しかし、私は歯周病の炎症が強い方には、
ウェルテックさんのコンクール液をすすめています。
それは臨床で使用していて、効果を感じるからです。
医院では扱っていないので、市販での購入になりますが、リステリン®の知名度は高く、
多くの方が、
目にしたことがあるようです。
使い方については、
ほとんどのタイプが、ブラッシング後に洗口
となっていますが、
私は30秒洗口した後に、
ブラッシングを行うよう、すすめています。
二階堂 雅彦先生に、
「洗口後にブラッシングを行った方が、
バイオフィルムを破壊するのに、効果的だと思うのですが…」
という質問をしてみました。
「そういう考え方もありますね。
ブラッシングの前後は、
どちらでもよいかと思います。」
とお答えくださいました。
なので、
使用感や、味のこともあり、
私はブラッシング前に洗口するよう、
すすめます!
<日本とアメリカの比較>
・IDBやフロスを使用している人
日本…39%
アメリカ…74%
・マウスウォッシュを使用している人
日本…33%
アメリカ…63%
フロスはアメリカの方が、
使用率が高いことは知っていましたが、
マウスウォッシュも高いとは…
やはりアメリカの方が、
セルフケアの意識が、
日本に比べてかなり高いですね。
リステリン®を院内で使用するには?
・菌血症の予防で、SRPの術前に洗口する
・FOP、インプラントなど、オペの術前に洗口する
・オペ術後2~3週間に使用する
その他、知ったこと
・クロルヘキシジンに少しアルコールが入っている
・イリゲーションに薬剤を使っても、効果はない。
(p-maxなどの超音波を用いる時の、外部注水でクロルヘキシジンなどを使う時のこと)
2.リステリン使用に気をつける点
これまでリステリン®のよいところばかり書きましたが、
不向きな方もいらっしゃいます。
それは、
カリエスリスクが高い人
にはすすめない…と、私は考えています。
「えっ‼ プラーク除去効果が高いって、
書いてたのに‼?」
と困惑すると思いますが、
実際に私が10日連続で使用した感想と、
今までマウスウォッシュを使用していた方の口腔内を見て、感じたことです。
リステリン®は味がきつく、刺激が強いのか、
口臭は減りますが、使ったあとは、
口が渇く
口の中がざらざらすると感じました。
これは、ジュースを飲んだ後の、
口の中の状態に、似ているように思います。
ざらざら
ねばねば
そんな感じです。
寝る前に使用した方。
リステリン®で洗口した後に、水でゆすがない方は、歯の黄ばみがひどく、粘性の唾液が出ていました。
(このことがあり、洗口後にブラッシングをすすめています。)
ひどい方は、マウスウォッシュをやめてもらうと、唾液がさらさらになり、
ねばつきがなくなったりしました。
効果が高いと書いていても…
何か、
カリエスになりそう…(汗)
口の中が酸性になってないか心配…
そんな気分です。
なので、
・カリエスリスクが高い
・口渇
・唾液が少ない
・飲食回数が多い
・歯面の黄ばみがひどく、ねばねば
こんな方には、脱灰しやすくなりそうで、
すすめていません。
歯周病の患者さんで、
リステリン®をすすめたケースは
・中等度~重度の歯周病
・カリエスリスクが低い
・歯面の黄ばみがなく、ねばねばしていない
・プラークコントロール良好
・全顎的に歯周病が進行
これに該当し、かつ常用するのではなく、
SRPの期間中~再評価まで
など、短期的な使用を提案しています。
(連続使用の後に、週1回使用するなど、工夫しています。)
Pの急発や、
一部の垂直性の骨欠損がある方には、
コンクール液
(グルコン酸クロルヘキシジン)
をすすめています。
なので、
メリット、デメリットの両面を知ること、
そして、エビデンスだけでなく、
自身で使用感を試してみる。
そこから、患者さんにすすめるか、
すすめないか…
その判断は、歯科衛生士によって
違うと思います。
皆さんなら、どのように使われますか?